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会員のお仕事

Designer’s House / Designer’s Project
デザイナーの住まい・仕事 vol.8

デザイナーの家のデコレーション 総集編

IIDA Japan Chapterメンバーの住まいや手がけた物件を紹介するDesigner’s House/Designer’s Project。
今回はこれまでにご紹介したIIDAメンバーの自宅でのデコレーションについて特集します。

text & photographs: Eriko Hosoi
photographs : Keiko Ushiyama

これまでIIDAメンバーのお住まいを取材させて頂き、多くの“素敵インテリア”の発見がありました。なかでも大小さまざまなインテリアアクセサリーをたくさんの愛情とこだわりで飾るそのテクニックには目を見張るものがありました。間取りや内装材、家具やカーテンの組み合せを考えるだけではなく、日々の暮らしの中でインテリアを楽しむ重要アイテムがインテリアアクセサリーであり、季節を感じるしつらえ、家族との想い出、旅先での出会いなど、様々な切り口で演出が可能だということをデザイナーの住まいを通して知ることが出来ました。

今回はこれまでご紹介させていただいた中から、IIDAメンバーのご自宅の素敵なデコレーションをクローズアップしてお届けします。

U邸 古きもの、大切なものを愛でるデコレーション

U邸の家具や小物には素敵なエピソードがいろいろありました。旅先での出会いや記憶、夫婦の想い出、友人からの贈り物。それぞれに大切にしたいものがあり、それらをどこかにしまうのではなく、使い、飾り、愛でる場所がありました。例えば寝室の家具。これらはご主人がサンフランシスコで手に入れたフランス製ウォールナット材のアンティーク。数十年前に手に入れながら長くアメリカの某所に置かれ、その後の山梨の知人のもとに預けてこの家の改装時にようやく手元に。またダイニング脇のキャビネットには古い銀器が沢山並んでいます。これらは全てアメリカに住む長年の友人でありデザイナーからのプレゼント。また、DIYでインテリアを楽しんでいらっしゃったのもU邸の魅力です。以前出窓だった空間を物入れにし、その扉に古いカレンダーのイラストを入れた額縁を使い壁面アートにしてしまうなど、アイデアがいっぱいでした。ご夫妻の人柄や素敵なライフスタイルが表れたインテリアに触れ、“自分らしく美しく住まうということ”の大切さを改めて考えました。



サンフランシスコで購入したフランス製のアンティーク家具
壁紙の花モチーフとブルーのカーテンがアクセントに

リビングスペース

壁の4つの額絵ならぬ隠し扉
元は出窓だったところに手を加え収納に。額絵はその扉になっているという仕掛け。古いヨーロッパの建築の絵(元はカレンダー)が入っている。

友人から送られた銀器をまとめてコーナーに

→U邸についての特集ページはこちらからご覧頂けます

T邸 高さと奥行きのバリエーションで豊かなデコレーション空間を

T邸には多くのフォーカルポイント、デコレーションポイントがあります。リビングやエントランスといった一般的によくある場所以外にもそれはあり、「え、こんなところにも!」と訪れた人が思わず嬉しい声を上げてしまう程。例えばその場所は、廊下の奥だったり、トイレの壁面に出来たほんのわずかなくぼみだったりするのです。それらを“デコポイント”として成功させている理由は、人の動線や視線の先にスペースを確保し、高低差をつけた小物や家具配置で立体的に空間を演出してあるところです。奥行きのない場所ではガラスの棚を使って光を透過して陰翳を出し、また、別の場所では濃色で壁面を塗装し、空間にメリハリをつけアクセントにするなど、参考にしたい飾るための場所作りのテクニックが沢山ありました。季節の花や小物を新しいものと古いものを織り交ぜ、ミックスして飾る楽しみをT邸は教えてくれます。


エントランスホール
階段室に面した全面FIX窓からの採光が空間をより美しく見せる高さの違うアンティークの家具を斜めに配し、ランプやロウソクで光の演出を季節に合わせて生ける花や小物をセレクトして、この家に訪れる人の目を楽しませてくれる場所に

ダイニングスペース
大きなテラスに面したガラス窓の前にコンソールテーブルを置いてデコレーションスペースに。高低差をつけたグリーンの配置にも注目


赤をアクセントにとガラスの花器や小物でまとめたデコレーション
旅先で出会ったものや家族の想い出を飾って

エントランスホールからワークスペースに続く廊下部分
白い空間の中にアクセントカラーのダークグリーンを配しフォーカルポイントに
モダンな空間に掛け軸や花器で和の演出をする
もてなす人や気分で自由に演出出来る場所になっている

→T邸についての特集ページはこちらからご覧頂けます(メンバーシップオンリー)

N邸 質感の違いを組み合せ、色でアクセントを

N邸の大きな特徴、それは白と黒の配色です。玄関、パウダールーム、キッチンの床に白黒の市松模様のタイルを配し、各部屋を繋ぐL字形の廊下にはマットな黒の建具。コントラストの効いた白黒配色が空間のアクセントになっています。白黒がキーカラーでありながら部屋全体が冷たい印象にならないのは、表情豊かな装飾品やバリエーション豊かな素材使い、そして微妙な色使いにあります。ゼブラのアクセントラグや様々な素材のクッション、個性溢れるアクセサリー。そしてカーペットやソファに使われているベージュ系カラー。一見単色使い(モノクローム)に見える空間ですが、実はセピアカラーの写真のように柔らかな色味が加わり、モダンな中にエレガントさと温もりが存在しているのです。寝室やキッチンにはグリーンや赤などの小物でアクセントを付け、空間にリズムが生まれています。そして、各所に見られるディスプレイ・テクニック。旅先や街で出会った素敵なものを東西、新旧問わずに自身のセンスとバランス感覚で配置する。そのアイデアや感覚を身につける方法は、「多くの美しいものを自ら動いて沢山見る」ことのようです。リビングにはオリジナルの装飾もありました。インテリアファブリックとNさん自身の手による『梵字』の書を組み合せたアートフレーム。この額は一見シンプルながら、実際に目にすると思わず近くに寄って見つめずにはいられない不思議な力を持っています。梵字に興味を持ち、現在先生について習っていらっしゃるNさんだからこそ生まれたオリジナルアートです。自身が興味を持ち、良いと思うものを生活空間の中に取り込み飾ること。それが毎日の生活をより豊かに魅力的にしてくれるようです。


リビング・ダイニングルーム全景

ソファと様々な素材のクッション
メタリックプリントの光沢がアクセントに



リビングのインテリアアクセサリー

→N邸についての特集ページはこちらからご覧頂けます

T邸 姉妹で楽しむ ー ギャラリーのように飾る喜び ー

T邸にはアートギャラリーのようなコーナーが沢山ありました。これらは全てTさん姉妹が相談して飾り付けたものばかり。日本に昔から伝わる季節の行事に合わせたしつらえはお姉様が担当。そしてそれ以外の期間の飾り付けは、国内外の旅先で出会った様々なアートの中から、毎回テーマを決め、飾り付けを姉妹二人で楽しんでいるそうです。以前ご紹介させていただいた初夏バージョンのテーマは白と青。リビング・ダイニングには様々なニュアンスの白い花器や食器が並び、海を連想させる珊瑚モチーフのクッションカバーがアクセントになっています。そして玄関にはガラスと青が印象的な置物が並びます。1Fの階段下の空間はまさにギャラリーのような趣。ジョアン・ミロの絵と瀧口政満氏の美しい少女の彫像「旅人」が配され、客人を迎えます。トイレにはTさんのユーモアのセンスが発揮された飾り付けに。置かれたランプやイラストを見て、思わずクスリと笑ってしまう趣向です。階段の踊り場も素敵なギャラリーのようにしつらえられています。3階の和室の床の間にはアーティスティックな柿渋の紙に大胆な筆使いの書のパネルの連作が飾られ、豚革で作られたというどこか哀愁の漂う羽のある繊細な像が飾られています。国内外の様々な作家の作品、それらは全て、Tさん達の心に触れた素敵な物ばかり。毎回二人で何を飾るか話し合う時間が楽しくてしょうがないという、仲の良い姉妹の暮らしの中のエッセンスが詰まった豊かな空間がそこにはあります。



白をテーマにした初夏バージョンの飾り付け

青銅の箱の上に小さな家が乗っている小さな壁掛けの花器

涼やかな配色の海のモチーフクッション


階段下のギャラリーコーナー

→T邸についての特集ページはこちらからご覧頂けます

F邸 ハワイの風薫るリビングと個性豊かな趣味の部屋

F邸のリビングの壁面にはDONALD TAKAYAMAのロングボードが飾られるなど、ご夫婦で毎年訪れる大好きなハワイのものが多く飾られています。また、掛け軸や器など、ご夫婦のご実家から譲られた古き良きもの、沖縄などの旅先で出会った小物などがさりげなく配され、空間の良きアクセントになっています。オフホワイト、ベージュ、ブラウンというように茶系に押さえたカラー配色で落ち着きのあるシックな大人のハワイアンスタイルにまとめられています。そしてプライベート空間ではご夫婦のそれぞれの個性が活きたインテリアを見せていただきました。ご主人の部屋には磨かれた美しい革靴が木製キャビネットの上と引き出しの中にきっちりと並んでいます。長年手入れを重ねた革製品だけが持つ美しい光沢と味わいがそこにはあり、物を大切にするご主人のこだわりと愛情を見ることが出来ます。そしてFさんのお部屋にはピアノと電子ピアノが並び、窓辺のデスク回りには書籍の他、普段身に付けている愛用のアクセサリーが、ショップのように楽しく並んでいます。味わいのある塗装のデスクは、実は二十数年前から持っていた普通のデスクをご主人が丁寧にサンダーをかけて塗装し直したリメイク品。ご主人の部屋の靴箱が入った棚も同じようにリメイクしたものだそうです。夫婦で共有するスペースには2人が大好きなハワイを連想させるものを配し、個人のスペースにはそれぞれが愛するものを置く。このような空間であれば、2人の時間も個々の時間も楽しく、又大切に出来るのだろうなと感じさせてくれるインテリアでした。


F邸のリビング秋冬バージョン
クッションが変わるだけで違った印象に


空間を彩る小物たち

ご主人のプライベートルーム 大切に素敵な靴がしまわれています

Fさんのプライベートルーム 素敵なアクセサリーをショップのように

→F邸についての特集ページはこちらからご覧頂けます

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