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会員の視察・旅行記

吉田亜希子のUSA JOURNAL 2015年8月号(2015.8.1)

ちょうど1ヶ月前の話題になってしまいますが、アメリカで経験した祝日の中で、やはり語るに外せないのが7月4日の独立記念日(インディペンデンス・デイ)。1776年アメリカ大陸会議にて独立宣言が採択された日です。この日はアメリカ全土でパレードや花火、イベントが行われ、子供から大人まで国民全員がアメリカの独立を盛大に祝います。という訳で、今年は私達も是非アメリカの愛国心にどっぷり浸かってみよう!ということで、7月4日、ワシントンDC市内のホテルを予約し、ワシントンモニュメントのふもとからDCの花火を鑑賞してきました。

ちなみに今回のメインは、花火と共にもう一つ。宿泊をした 「The Willard InterContinental Hotel」。
このウィラードホテルは、150年以上も前からDCの中心ホワイトハウスに程近いPennsylvania Avenue通り沿いに立地し、正にアメリカの中心で、歴史を見続けてきたとも言えるホテルです。

またこのホテルの歴史はアメリカだけに留まらず、私達の国、日本にも大きく関わっています。幕末の1860年、徳川幕府が日米修好通商条約のために派遣した、日本初の外交使節 「万延元年遣米使節団」がDC滞在の際、宿泊したのがこのウィラード・ホテルでした。当時ホテルの前には、ちょんまげ姿のサムライを一目見ようと、連日人だかりが出来たのだとか。

それ以降も、エイブラハム・リンカーンを初めとするアメリカの歴代大統領や政治家、また各国の国賓やVIPを多く受け入れ、歴史の舞台となって来たこのホテル。その顔となる美しいボザール様式のロビーは、繊細なモールディング彫刻や、神殿風の柱、アメリカ各州の紋章が描かれた美しい天井など、とても装飾的で豪華。ただその一方で、全体の配色は非常に落ち着いたグレイッシュカラーでまとめられており、数多くの博識ある著名人が好んで利用したと言われるのも納得の、とても品が良く格式高い印象を受けました。ちなみに、オリンピック招致活動などで良く耳にした 「ロビー活動」、「ロビイスト」という言葉。実はこれも、正にこのウィラード・ホテルのロビーが発祥。喫煙を嫌った妻の目を盗んでこのホテルのロビーでタバコを吸っていた18代グラント大統領が、連日待ち構えていた記者やブローカー達をそう呼んだことが始まりだとか。

またこのホテルでもう一つ有名なのが、「ピーコックアレイ(孔雀回廊)」と呼ばれる長い回廊。昔、この回廊を歩く紳士淑女達の着飾った姿が美しい孔雀の様だった、というところから、こう呼ばれるようになったそうです。こちらはロビーの落ち着いた雰囲気とはまた違い、華やかで絢爛豪華な印象。バーガンディーレッドの豪華な絨毯や、回廊沿いに置かれた大理石のテーブル、ゴールドの調度品などが、正に昔の貴族や著名人達のパーティーや社交を想像させる華やかさ。現在ではこの場所で有名なアフタヌーンティーが頂けるのだそうですが、残念なことに夏季は休業中。秋から再開とのことなので、秋以降、必ずアフタヌーンティー目当てにリベンジの予定です。

こうして美しいウィラード・ホテルでアメリカの歴史を充分に堪能後、夕方から花火鑑賞の為、ナショナル・モールにあるワシントン・モニュメントへ。独立記念日に毎年、リンカーンメモリアル前のリフレクティングプールから打ち上げられる花火は、DC周辺の人々のみならず、多くのアメリカ国民も観光に訪れる一大イベントの一つとなっています。前回のDC特集でも記載した通り、低層建築ばかりのワシントンDCですので、花火は市内どこからでも美しく見ることは出来るのですが、やはり醍醐味はナショナル・モールから。花火が始まる21時までの間、18時からUS AIR FORCEバンドによる野外コンサートが行われ、アメリカのポップスから国歌や軍歌、童謡に至るまで、みんなが聞き覚えのある有名な曲が次々と演奏され、付近で花火を心待ちにする人々の気分を徐々に盛り上げます。

モニュメント麓の芝生の公園では、夕方ごろから徐々に人が集まり初め、ビニールシートを敷いて寛ぐ人、ボール遊びで駆けまわりながら花火を待つ子供達、コンサート会場から聞こえてくる歌に合わせて、一緒に歌ったり、踊ったり、手拍子をしたりする人々—。歴史的建造物であるワシントン・モニュメントの真下で、独立記念の花火までの夕暮れを思い思いに過ごす、様々な人種のアメリカ人達。何というか、アメリカのおおらかさやノリの良さ、多様性や寛容さや一体感など、全部まとめて、「あぁーこれがアメリカだなー」 と感じられるようなとても素敵な光景でした。

そしていよいよクライマックスの花火。日本の花火とは大違いの、侘び寂び一切無しの(笑)最初から最後までドカンドカンと次々に打ち上げられる、正にアメリカンな花火でしたが、それもまた豪快なこの国らしく非常に爽快で楽しかったです。「U・S・A」 と打ち上げられた花火に子供から大人までみんなが大歓声を挙げ、最後終わった後にはみんなが笑顔で拍手を送る、そんな様子もとても暖かく、印象的でした。

アメリカのアメリカらしさを堪能し、アイデンティティや愛国心をひしひしと感じたインディペンデンス・デイ。そしてそれと同時に、自分の国について私はどれだけ知っているかな?誰かに日本の素晴らしさを語れる知識はあるかな?等、日本についてもふと考えさせられ、そして少し日本を懐かしく感じた1日でもありました。観光客や、私達と同じくVISAで滞在する多くの外国人も暮らすアメリカ。沢山のアメリカ人に混じって、あの花火を見ながら自分の国を想った外国人は、多分私だけでは無かったのではないでしょうか。
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