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活動報告

IIDA 2月月例会「2016 Maison & Object・Deco Off in Paris」レポート(2016.3.1)

1月にフランスのパリにて開催されたインテリア・ライフスタイルデザイン関連の見本市「Maison & Objet」(以下: M&O)の速報レポートが2月10日に行われました。会場は企業メンバーである(株)AIDECの東京ショールームにて、講師はIIDAプロフェッショナルメンバーで、企業向けにトレンド分析のセミナーもされている細井絵理子さんです。当日は予定時間を延長した2時間を超える情報盛りだくさんのセミナーとなりました。

本年は、昨年フランスであった一連のテロの不安が拭いきれていない中での開催ということで、渡仏を見合わせる企業やデザイナーも多く、例年に増して貴重な聴講の機会となりました。日本でも展開をしている「CASAMANCE」「Christian Fischbacher」「ELITIS」「Pierre Frey」「Osborn & Little」他各社のブースの様子や新作商品からトレンドを解説頂きました。また、今年オープンしたばかりの「Hotel Bachaumont」や、改装で改めて魅力的になった「Hotel Plaza Athenee」など注目ホテルのインテリアまでご紹介頂きました。

以下、大きなポイントのみご紹介させて頂きます。

今回のM&Oのメインテーマは「WILD」。
未開の地、自分が知らない物や事に対する憧れや怖れ、そして我々人類の限界を感じさせるのが”WILD”つまり“野性”です。 物事やものに対する本質を洗練化させ、飼い慣らされていないもののエネルギーを示唆し、そしてそのインスピレーションを与えてくれる強い存在が今回のテーマとなっていました。そして”ReWILD Yourself” 益々進む情報化とテクノロジーの発展したこの時代に、己の再びの野性的感覚を意識し直す事が次の未来の発展そしてトレンドのヒントとなるようです。

そんなテーマのインスピレーションのブースは3つで構成され、森の中に迷い込んだようなエリア。そこで自然界に存在する土や樹木、動植物、鉱物などローマテリアルを見直し、次に人間の手や道具が入っていくときにどういったものが出来ていくかを提示するエリア。そして、地球や大地に根ざした生活をしている部族たちのスタイルから得られる人間の野性を感じるインスピレーションを提示するエリアという構成で提案されていました。

トレンドセッターのフランソワ・ベルナール曰く、この「WILD」は「究極の他者性」で、私たちを快適な領域から引っ張り出し、命の枠組みにおける私たちの立場についての疑問を投げかけているということ。つまり、ただ単に心地よいという空間だけでなく、もっと人間の本能や本質に帰ったり、エネルギッシュにそこを進んでいかねばと思わせるような、そういった「刺激」がこれからのインテリアでは凄く重要になってくるのではというお話でした。また、それはインテリアに限った事ではなく、美術や今話題のガストロノミー(美食学)、ライフスタイル、コスメティック、装飾ペイント等に於いても、”野性”を取り込んでそこからインスピレーションを得る事がこれからのトレンドを読み解く上で重要だということでした。

会場内の”ELEGANT”のセクターにてメインで巨大なブースを展開していた「Eichholtz」(世界中のハイエンド層に人気のあるオランダの企業)を見たときの事について、細井さんは、そのエレガントとは普通とても思えないようなディープカラーとジャングルやアフリカンテイストを思わせる「WILD」な要素に、彼らの表現する最上級のエレガントモダンな家具と合わせ、さらにディスプレイの斬新なワザの数々をまざまざと見せつけてくるその強烈さにとても堪らない気持ちになったとおっしゃっていました。そしてそれが「エレガント」だという事実に対して、20世紀型のモダンやナチュラルがもう終わって変わったのと同様に、20世紀型のエレガンスもまた終わっていて、これまでと同じ感覚や解釈でいてはいけないと。日本でも、新たな一手となるようなパンチのある考えやモノが出てこないと市場は活性化しないだろうと思わせられたとおっしゃっていたのが印象的でした。皆様は今回のこの「WILD」という考え方について、どのように感じ解釈されますか?

写真提供:細井 / 文:古澤

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