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会員の視察・旅行記

吉田亜希子のUSA JOURNAL 2016年5月号(2016.5.1)

6月末の帰国日も決まり、いよいよ私達のアメリカ生活も残すところ2ヶ月を切りました。同じ時期に帰国する日本人の方々が、そろそろヤードセールで不要品の処分を始めたとか、そんな話を聞く度に気持ちばかり焦るのですが、実はまだ何も帰国準備が出来ていない私…。というのも、残り少ないアメリカ生活を悔いのない様に!と思う余り、毎日詰込み過ぎて何だか忙しい日々。毎日充実していて楽しい反面、学校の宿題に追われる夢にうなされながら起きた朝は、流石に、我ながら「何の追込み?」と笑ってしまいました。

そんな中、今回のUSA JOURNALは、その忙しさの理由の一つ、満を持して終に行き始めたインテリアデザインのクラスについて。 …と言っても実は、そんなにプロフェッショナルな知識取得を目指すものでは無いのですが、私の住んでいるCountyが開催しているカルチャースクール講座の一つで、インテリアデザインの基礎を短い期間で簡単に学ぶ為のクラスです。

ただそれでも、英語に自信の無い私がチャレンジするには充分なハードルの高さ。例えカルチャースクールと言えど、専門用語が飛び交う授業をどの程度理解出来るのか、他のアメリカ人のクラスメートに迷惑を掛けるような事にならないか、実習もあるインテリアデザイン、何をすべきか理解出来るのかなど…。でもこの春期講座がアメリカに居る間に、アメリカのインテリアを学べる最後のチャンス。思い切って参加してみることにしました。

先生はASID(American Society of Interior Designers)のインテリアデザイナー、レベッカ先生。小柄な可愛らしい老婦人といった感じですが、授業ではとってもパワフルで若々しく、毎回ジェスジャーや表情をくるくる変えながら、全身でインテリアデザインの魅力を教えてくれる、とっても魅力的な女性です。若いころはご両親の勧めで看護学校に進学されたそうですが、その後やはりインテリアデザインへの夢が捨てきれず、大学に入り直してインテリアデザインのMA(修士号)、BA(学士号)を取得されたとのこと。

生徒は20代後半〜50代くらいと思われるアメリカ人女性+私(笑)13名。1回目の授業の際に、「何故このクラスを受講したのか」という自己紹介をそれぞれしたのですが、「家のインテリアを素敵にしたかったから」という方もいれば、「保険会社で働いて来たけれどやっぱり好きなインテリアを学びたくて」という方もいたり。中には「50代だけれど今後、大学でインテリアデザインのMA取得を目指している、その前に本当にインテリアデザインが自分にあっているかどうか試してみたくて」という方も。こうして先生や、皆さんの経歴を聞いていると、もう正に、懐かしい町田ひろ子アカデミーでの教室を彷彿とさせる雰囲気。やはり女性が第2の人生を考えた時に、自分のセンスやこれまでの生活、経験を活かせる魅力的な仕事であることは、日本もアメリカも同じなのだなぁと改めて感じました。

授業は前述の通り短期コースなので内容は広く浅くといった感じなのですが、少し驚いたのが1回目の授業の中で、30分程でざっと平面図の書き方を口頭で(!)教えられ、2回目の授業までに自分の家を採寸して平面図を書いて来てね、という宿題が出たこと。三角スケールやトレーシングペーパー等の道具も「◯◯で売っているから買って書いてね〜」と(笑)。勿論殆どのクラスメートが三角スケールの使い方も知らない中、「こんなラフな教え方で宿題??」とびっくりしたのですが、クラスメートも意外に「OK〜」という感じ(笑)。そして結果、案の定やはり皆さんそれなりのクオリティー(笑)(フリーハンドの人もいた!笑)。それでも、「出来るようになってからやる」じゃなく「とりあえずやってみる」からスタートする感じは、とてもアメリカらしいなと思いました。

授業は毎回、講義が半分、残りの半分は生徒が書いてきた平面図と自宅画像を見ながら、どうしたらもっと美しいインテリアになるかを皆で話し合ったり、先生がアドバイスする形式。勿論そこでの解決方法もとても役に立つのですが、クラスメイトがそれぞれ持ってくる自宅画像が見られたり、皆の好みを聞けたりするのも私にとってとても興味深いこと。そんな中、少し意外だったのが皆のインテリアの好みについて。バージニアという土地柄や、既婚者である方が来ているせいもあるかとは思いますが、20代の方のお家でも、皆さん家具がとてもトラディッショナルな感じ。直線的なモダン家具を置いている方は一人もおらず、装飾的な飾りの付いた、重厚感ある家具でコーディネートしている、という方が殆どでした。先生が講義の中でバーチカルブラインドを紹介した時も「私これ嫌い〜!」と言っている人が何人かいて(笑)、そういったアメリカ人のインテリアの好みや傾向を、より身近に知ることが出来るのもとても面白いです。

学ぶ内容自体は本当に基礎なので、多少なりとも日本で下地があれば難しいものでは無いのですが、それでもやはり専門用語も多いですし、ディスカッションとなると付いていけなくなることも度々。私の滅茶苦茶なブロークン・イングリッシュに付き合ってくれ、何か聞かれる度に「え?」となっている私に何度も簡単に言い直してくれる先生やクラスメートには本当に感謝です。そんな状態の中、未だにもうすぐ帰国という実感が全く沸かない日々ですが…。最後まで、ここでしか出来ないことをしっかり楽しんで、思い残すこと無く帰れたらな、と思っています。

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