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会員便り

Designer’s House / Designer’s Project
デザイナーの住まい・仕事 vol.3

モノクロームの誘惑  N邸 第1回

IIDA Japan Chapterメンバーの住まいや手がけた物件を紹介するDesigner’s House/Designer’s Project。
2011年を迎えての第3回目は、東京の中心ともいえる皇居に程近い場所にあるN邸をご紹介します。

text & photographs: Eriko Hosoi
photographs : Keiko Ushiyama

東京の中心ともいうべき、大使館やオフィスビルが建ち並ぶ一角にN邸はあります。インテリアデザイナーであり、カラーの専門家でもあるNさんの住まいとは? 3回にわたってご紹介します。

魅惑のBlack & White

都心の交通量の多い国道から一本入った場所に建つ築約25年のマンション。そこは都会の喧噪を驚く程シャットアウトし、静かな佇まいを見せています。その一室にあるN邸は約15年前に改装し、5年前に息子さんの独立を機に2回目の改装を行い現在に至ります。注目すべきは、スケルトン状態にしての大改装ではなく、元の間取りや設備を活かしながらも時代を感じさせない、落ち着きのあるスタイリッシュな空間になっている点です。これには配色と家具バランス、そして無駄なものはひとつもないプロも憧れるすっきりとしたライフスタイルにヒントがありそうです。

N邸の大きな特徴、それは白と黒の配色です。Nさん自身が大好きだと言うこのBlack & Whiteの市松模様は、古くからヨーロッパで使われてきたエレガントなデザイン。それでいて都会的なモダンなスタイルにもマッチするこの配色はNさんご本人の印象とも重なり、家全体を象徴するキーカラーになっています。玄関、パウダールーム、キッチンの床に白黒の市松模様のタイルを配し、各部屋を繋ぐL字形の廊下にはマットな黒の建具。コントラストの効いた白黒配色が空間のアクセントになっています。

玄関ホールは、淡いベージュのカーペットに白い壁、キャビネットの上には季節の花やオブジェが飾られ来客をもてなします。正面にはお父様から譲られたというハンガリーの画家F. Bordasの印象的な絵がかけられ、見る者の心を惹き付けます。リビング・ダイニングルームにはコルビジェのガラスのテーブルがあり、その存在感に改めて巨匠と呼ばれる作家のデザイン力を実感します。奥にはゆったりとしたローソファのコーナーがあり、壁一面には鏡が貼られ空間に広がりを与えています。背の高い家具を置かず、目線を低くし天井を高く見せる工夫も。大きな窓やバルコニーが無いこの空間を明るく、広く見せるテクニックのひとつです。

白黒がキーカラーでありながら部屋全体が冷たい印象にならないのは、表情豊かな装飾品やバリエーション豊かな素材使い、そして微妙な色使いにあります。ゼブラのアクセントラグや様々な素材のクッション、個性溢れるアクセサリー。そしてカーペットやソファに使われているベージュ系カラー。一見単色使い(モノクローム)に見える空間ですが、実はセピアカラーの写真のように柔らかな色味が加わり、モダンな中にエレガントさと温もりが存在しているのです。

次回は『パリのデザインホテルのようなベッドルーム』をお送りします。

 




玄関スペース


廊下のBlack & White




パブリック・パウダールームとキッチン
白黒配色の中にクリームイエローや赤を合わせてアクセントに


リビング・ダイニングルーム全景



ソファと様々な素材のクッション
メタリックプリントの光沢がアクセントに





リビングのインテリアアクセサリー
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