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活動報告

IIDA 4月月例会「漆素材の木曽アルテックセミナー」レポート(2016.5.1)

4月20日に開催された4月度月例会。株式会社木曽アルテックの青山ショールームにて開催されました。

長野の奈良井より社長の斎藤寛親様がセミナーの為にお越し下さり、漆の歴史からこれまでにされてきた取り組みの数々、そして製品について活き活きとレクチャー下さいました。知らなかった製品的特徴も多数有り、驚きと新発見のあるセミナーとなりました。

漆というと現代でもすぐ思い浮かべられるものといえば「漆器」だと思いますが、これからは「五感に刺さるインテリアの建材」として現代人の目に触れる機会をもっと増やすべきと思ってしまいたくなる程に、自然の醸し出す素材感の力強さを知ることが木曽アルテックの製品から知ることが出来ました。

小さなショールーム内でも驚くほど数多くの製品や素材を拝見できました。「デザイナーの引き出し」とも言われているこちらの会社は、漆に始まり、木・鉄・布・紙などの自然素材を使用した製品が多種あり、オリジナルの鋳造のハンドルやノブもあります。黒々とした重量感のあるインテリアアクセサリーで、剛健さが魅力的なデザインでした。床材もショールームの床で使われておりましたが、麻布の漆塗りの床磨いうその商品は、滑らず歩行感も良く、水や薬品にも強く耐久性もある。遠目で見ると毛足の少ないカーペットのようなスムースさ、立った近くを見ればその素材感が感じられとても素敵でした。また和紙を使った壁紙では、漆を塗ったもの、柿渋を塗ったもの、膠と顔料で淡く彩色した伝統色が美しいものがあります。特に漆和紙の壁紙は、水周りにも使用でき、中には不燃材の認定も受けている熱にも強い素材。陰影強めのその見た目の独特さは空間の表情作りの可能性を広げる製品です。

日本らしさは優雅で繊細なものだけでなく、素朴さや剛健な様にもあるかと思います。それはやはり元より日本が多く持っている山という厳しくも雄大な環境と、そこで伝統的に使っていた製法によって嘘のない表現ができるのだと感じました。またこういった雰囲気も、海外において今後より見てもらわなければならない日本の側面だと感じます。

こうした事を製品から感じられたのは、山林の豊かな自然の中で営んできた斎藤社長や社員の皆様だからこそ生み出せたもの。現代生活で漆器の需要が減少していく中で、常に試行錯誤と閃きを重ねて来られたのです。さらに、本社が長野の奈良井にあり、都心の青山そして京都にショールームを構える木曽アルテックのバランスは再興に取り組まれている他の伝統産業においても大きく参考になっているのではと思いました。またその製品を実際にインテリアで採用し使用することが重要でいかに必要とされているかを実感したセミナーでした。

フォーラム担当 古澤

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