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活動報告

新宿瑠璃光院白蓮華堂の見学会のご報告(2014.11.1)

蓮の花弁に包まれたような静けさを感じる空間は、一日の乗降者が330万人という大変賑やかな都会の真ん中である新宿駅のすぐそばにありました。

竹山聖氏設計のこの建物は、極楽浄土にある蓮の花の形をモチーフとしたもので、外観は杉板のコンクリートの型枠で作ったホワイトコンクリート(強度が強い)で出来ています。(室内も板目の方向が異なるホワイトコンクリートの仕上げです)大きさの異なる小さな窓がいくつもあいておりますが、中の様子はうかがえずお寺だと気がつかないような建物です。 ここはお寺であり納骨堂であり、七堂伽藍でありました。

*如来堂

新進の京佛師、冨田珠雲師による高さ4尺の阿弥陀如来立像は2年がかりで掘ったそうです。ブルーの鏡板はラピスラズリの原石を使い10層に塗っています。また、仏像の頭にも使い、時間と共に青さが出てきているようだとの事でした。春分・秋分の日(お彼岸)の午後3時には窓から陽光が射し、ご本尊全身をぴたりと照らす設計となっています。また、ピアノが置いてありましたが音楽など音の効果も高い空間として作られていました。

*黒書院

裏千家、松井宗幸師の設計による茶室と待合、日本庭園があり、茶会をはじめ和の文化事業が催されます。和室ならではの考えどころの照明計画や空調設備、スイッチの取付け場所や敷目天井の点検口などの設置も美しくまとめられておりました。

*本堂

浄土真宗の様式にのっとった本堂。床はラオス檜の無垢材。中国敦煌研究院より寄贈された、1500年以上前の壁画(「莫高窟第220窟阿弥陀浄土図」の高精細原寸大復元画像)(高さ3.51m、幅5.41m)が見事でした。この壁画は、世界でここでしか見られない貴重なものだという事です。(敦煌では現在保存のために見ることができません)
各処で使われているラピスラズリは壁画で使われていたところによるものです。

*空ノ間

4階から6階にかけての吹き抜けの大空間「空ノ間」。ここで禅定や声明、演奏会などもできます。開かれたお寺として、お仕事のお昼休みなどに座禅をしてもらうなど心を落ち着かせる場としての仕様も可能とのことです。「空ノ間」に捧げる曲としてフランスの環境音楽の権威、ピエール・マリエタン氏の「天と地の間に」をかけてくださり、瞑想する時間を過ごしました。

*水琴屈

都会の真ん中にあるとは思えない静けさのあるこのお寺は、音にもこだわった空間でありました。水琴屈の原理を用い、まわり階段にヒーリング効果もある水の音が響きます。

*白書院

日本画家松井冬子画伯が、「生々流転」と題する48面の襖絵を3年がかりで制作中で、今回の見学会の一番のポイントであった完成した8枚の襖絵を見せていただきました。薄い絹の上に墨だけで描かれており、圧巻です。色の違うところは、墨にラピスラズリを少し入れているとの事でした。 他に、壁画の間や納骨堂などを見せていただきました。

 ここは、空気感が上品で安らげる、歴史やロマンを感じる、宗派を超えた良い空間となっておりました。見学は予約にて受け付けてもらえます。まだ見られていらっしゃらない方は是非おすすめです。

原口恭子

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